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入門線型代数(’19):シラバス

■ 講座情報

入門線型代数(’19)
Introduction to Linear Algebra ('19)

【主任講師】
   隈部 正博(放送大学教授)

【教材・資料】
  ・インターネット視聴


■ 講義概要

線型代数を初めて学ぶ人向けの講義である。
平面や空間といった素朴な概念から始め、数ベクトル空間を定義する。
その後行列の概念を導入する。
このとき、連立方程式の解法といった親しみやすい事柄の復習を通して、行列の演算を解説する。
そして行列式逆行列の求め方を学ぶ。
また空間から空間への線型写像、部分空間の種々の性質をみる。
これらを通して、行列の階数、あるいは空間の基底、次元がどういうものか解説する。
さらに固有値固有ベクトルを定義し、基底の変換を解説する。
いわゆる数ベクトル空間について講義し、抽象的、公理的な議論はなるべく避けるようにする。

 【授業の目標】
   平面や空間といった素朴な概念を、数ベクトル空間としてとらえることから始める。
   連立方程式の解法を、行列を使って解く方法を学ぶ。
   行列式逆行列の求め方を理解する
   線型写像線型空間とはどういうものか解説する。

   ベクトルの線型独立、そして空間を構成する基底を学び、
   さらに空間の大きさを測る次元とはどういうものか学ぶ。
   次に基底の変換を解説し、これにより、座標の表示がどのように変わるかを理解する。
   合わせて固有値固有ベクトルを解説し、基底の変換に応用する。

 【講義項目】

   第1回 数ベクトル空間
   第2回 行列
   第3回 連立1次方程式の解法
   第4回 階数
   第5回 置換
   第6回 行列式
   第7回 行列式の性質
   第8回 行列式の展開
   第9回 独立と従属
   第10回 部分空間
   第11回 線型写像
   第12回 次元
   第13回 基底の変換
   第14回 固有値固有ベクトル
   第15回 行列の対角化


■ 講義内容

 各講義回の概要とキーワード

第1回 数ベクトル空間

  数ベクトルや数ベクトル空間について解説する。

【キーワード】
  集合、写像、順序列、数ベクトル、数ベクトル空間

第2回 行列

  行列がどういうものか定義し、
  行列の和や積演算について解説する。

【キーワード】
  行列、行列の型、行列の和、積

第3回 連立1次方程式の解法

  連立1次方程式の加減法による解法を復習し、
  その後、これを行列を使って見直し、
  掃き出し法によって解くことを学ぶ。

【キーワード】
  連立1次方程式、掃き出し法、行基本変形

第4回 階数

  連立1次方程式の行列による解法を整理し、
  行基本変形、列基本変形、そして階段行列を定義する。
  行列の階数を定義する。また逆行列の求め方を学ぶ。

【キーワード】
  行列の基本変形、行列の階数、正則行列逆行列

第5回 置換

  行列式を定義するにあたって、必要な準備として、置換について解説する。

【キーワード】
  置換、互換、巡回置換、偶置換、奇置換、置換の符号

第6回 行列式

  二次や三次の正方行列の行列式の定義、求め方からはじめ、
  一般の場合について解説する。

【キーワード】
  行列式、クラメルの方法、サラスの方法

第7回 行列式の性質

  行列式のもつ種々の性質について学び、
  行列式の特色づけを行う。

【キーワード】
  多重線型性、交代性、積の行列式

第8回 行列式の展開

  行列式を列や行で展開する方法を学び、幾つかの性質を理解する。
  行列式を用いて、逆行列の求め方を学び、
  さらに連立1次方程式の解法についても再考する。

【キーワード】
  行列式の展開、逆行列、余因子行列、クラメルの公式

第9回 独立と従属

  幾つかのベクトルを使って他のベクトルを書き表す、線型結合について学ぶ。
  線型独立や線型従属の意味することを理解する。

【キーワード】
  線型結合、線型独立、線型従属

第10回 部分空間

  数ベクトル空間の部分集合で、部分空間とよばれるものの定義をし、
  いろいろな部分空間を見ていく。
  さらに空間の基底を定義する。

【キーワード】
  部分空間、生成する空間、基底、部分空間の和、共通部分、直和

第11回 線型写像

  数ベクトル空間から数ベクトル空間への線型写像を定義し、
  行列がどのように関わっているかを学ぶ。
  線型写像の像や核について学ぶ。

【キーワード】
  線型写像、行列表現、像、核、不変部分空間

第12回 次元

  行列の階数と基本変形との関連について、
  より一般的に解説する。
  次に空間の大きさを測る次元を定義する。
  さらに次元と階数との関係について調べる。

【キーワード】
  階数、基底、次元、次元公式

第13回 基底の変換

  線型空間の標準基底が与えられた時、
  基底を変えることによって、
  与えられたベクトルの成分表示がどのように変わるかをみる。
  また線型写像を表す行列がどのように変わるかもみる。

【キーワード】
  基底の変換、座標変換、線型写像の行列表示

第14回 固有値固有ベクトル

  固有値固有ベクトルを定義し、その意味について解説する。
  ケーリー・ハミルトンの定理を解説する。

【キーワード】
  固有値固有ベクトル、固有多項式、ケーリー・ハミルトンの定理

第15回 行列の対角化

  行列が対角化される条件を考える。
  固有値固有ベクトルを使って、基底の変換を行い、
  線型写像の行列表示が対角化される例を見る。

【キーワード】
  基底の変換、行列の対角化