記号論理学(’14):シラバス概要

■ 講座情報

 記号論理学(’14)
 Symbolic Logic ('14)

【主任講師】
   加藤 浩(放送大学教授)、
   土屋 俊(大学改革支援・学位授与機構特任教授)

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■ 講義概要

 記号論理学とは、論理を論理式という数式のような記号で表して、
 厳密なやりかたで処理する方法の体系です。

 推論、すなわち、ある事態が成り立っている(真 である)とき、
 そこから別の確実に成り立っている事態を導き出したり、
 また、その推論の正しさを証明したりするのが記号論理学の役割です。

 記号論理学は、 数学をはじめとして、哲学、計算機科学などの基礎となるほか、
 論文執筆や議論やプレゼンテーションなどのコミュニケーションの基礎として重要です。

 本科目 では、命題論理、一階述語論理などの意味を理解して
 自然言語と対応付けられるようにし、
 さらに論理式の計算方法を学びます。

 【 授業の目標】
    一階述語論理の表現の意味の理解、日本語の表現の翻訳、
    および推論の妥当性の点検ができる。

 【講義項目】
   第1回 論理学とは何か
   第2回 記号を使う
   第3回 記号・式・命題
   第4回 命題の意味
   第5回 推論の妥当性を厳密に定義する
   第6回 タブローによる妥当性のチェック(1)
   第7回 タブローによる妥当性のチェック(2)
   第8回 多重量化
   第9回 日本語から形式言語への翻訳
   第10回 数を数える命題
   第11回 日本語の推論の妥当性(1)
   第12回 日本語の推論の妥当性(2)
   第13回 日本語の推論の妥当性(3)
   第14回 タブローの方法の健全性と完全性
   第15回 役立つ記号論理学


■ 講義内容

 各講義回の概要とキーワード

第1回 論理学とは何か

 論理学は推論について研究する学問であり、
 日常生活や学問において重要な役割をはたしている。

■ 【キーワード】
  推論、前提、結論、命題、議論、論争、常識、学問、科学、経験

第2回 記号を使う

 推論を厳密に表現し、検討するために記号を使う。

■ 【キーワード】
  自然言語形式言語、普遍言語

第3回 記号・式・命題

 一階述語言語の文法を導入し、式や代入や閉じた式を定義する。

■ 【キーワード】
  記号、式、代入、閉じた式、命題、構文論

第4回 命題の意味

 一階述語言語の式の真偽と、それにもとづいて、
 一階述語言語の意味論を定義し、理論とモデルの概念について解説する。

■ 【キーワード】
  意味論、モデル、解釈、真偽

第5回 推論の妥当性を厳密に定義する

 前提となる命題のすべてが同時に真であるとき、
 かならず帰結の命題も真であるならば、その推論は妥当であることを知る。
 しかしそもそも妥当な推論とは何であるか、
 それはどのように確かめられるのかを理解する。

■ 【キーワード】
  妥当性、論理的同値

第6回 タブローによる妥当性のチェック(1)

 推論の妥当性をチェックするための手続きであるタブローの方法を導入する。

■ 【キーワード】
  妥当性、タブロー

第7回 タブローによる妥当性のチェック(2)

 量化記号や同一性述語を含んだ推論をチェックするタブローについて解説する。

■ 【キーワード】
  タブロー、量化、同一性述語

第8回 多重量化

 ヨxヨyWxyや∀yヨxWxyのように
 量化記号が多重に使われているような命題を取り上げて検討する。
 量化記号を組み合わせることで、
 日本語としては意 味の違いがわかりにくい命題が、
 一階述語論理では命題の形式的な違いとして明確に区別できる。

■ 【キーワード】
  多重量化、全称量化記号、存在量化記号、量化の順番、スコープ、翻訳

第9回 日本語から形式言語への翻訳

 日本語で書かれた命題を一階述語言語に翻訳する方法を学ぶ。
 日本語命題はその意味するところをモデルにあてはめて表現し、
 そこから命題に翻訳する。その際に陥りやすい誤りや注意すべき点を解説する。

■ 【キーワード】
  翻訳、自然言語、集合、個体

第10回 数を数える命題

 「少なくともn個ある」「ちょうどn個ある」「多くともn個であるJなど
 個体の数量を表す命題について学ぶ。
 一階述語言語には数字を一切用いないで、
 自然数の個体の存在について述べる記述能力がある。

■ 【キーワード】
  全称量化、存在量化、同一性、翻訳

第11回 日本語の推論の妥当性(1)

 日本語で表現された推論を形式言語に置き換え、
 その妥当性をタブローによってチェックする。

■ 【キーワード】
  タブロー、日本語での推論、妥当な推論のパターン

第12回 日本語の推論の妥当性(2)

 日本語の推論の妥当性をチェックする。
 とくに推論の際に暗黙のうちに前提される命題を特定する練習をする。

■ 【キーワード】
  タブロー、隠された前提

第13回 日本語の推論の妥当性(3)

 誤りやすい推論、論証について学び、
 それをタブローによってチェックする練習をする。

■ 【キーワード】
  タブロー、誤謬

第14回 タブローの方法の健全性と完全性

 論理体系の健全性、完全性、決定可能性の概念について解説する。

■ 【キーワード】
  健全性、完全性、決定不可能性

第15回 役立つ記号論理学

 これまで学んだ範囲を越えて、
 記号論理学とその背景となる考え方がどのように活用されてきたか、
 また、どのように活用することができるかということについ て検討する。
 数学の証明、コンピュータ科学の発達、科学的理論の構造、批判的思考という
 4つの側面がもつ背景と課題を学ぶ。

■ 【キーワード】
  証明、不可能性、コンピュータ、人工知能、観察、理論、
  反証、検証、論理と修辞、合成性の原則、曖昧さ、隠された前提