情報学へのとびら(’16)【基盤科目】:シラバス概要
■ 講座情報
情報学へのとびら(’16)
Introduction to Informatics ('16)
【主任講師】
加藤 浩(放送大学教授)
大西 仁(放送大学教授)
【教材・資料】
・インターネット視聴
■ 講義概要
本科目では、多様な側面を持つ情報に関して、
情報の認識、加工、発信の主体である人間
および人間の共同体である社会と情報の関わり、
情報社会を支えるコンピュータや情報・通信システムの
理論的、技術的背景について解説し、
それぞれの場面における情報の効果や処理のされ方に関する
基本的な理解を図る。
また、講義で取り上げる情報に関わる問題が
どのような学問とつながっているかについても触れて、
情報の概念(ないしは情報学)の体系の一端を示す。
【授業の目標】
現代社会においては、誰もが目的に応じて情報を扱う能力を
求められている。
そのためには、情報機器やソフトウェアを使用する技能の習得と
情報や情報処理の概念や原理の理解が必要であり、
本科目では後者を目的とする。
各回で扱う話題は詳細に述べればそれだけで
1科目になるような内容であり、
本科目では最も基本的部分とそれらの関係の理解を目標とする。
広く深い情報の世界に踏み込んで道に迷うことがないように、
見取り図を与えることが本科目の目的である。
【講義項目】
- 第1回 情報化する社会を生きる
- 第2回 情報のデジタル表現とマルチメディア
- 第3回 コンピュータの構成要素とその機能
- 第4回 インターネットの歴史としくみ
- 第5回 インターネットの応用
- 第6回 情報リテラシーと情報倫理
- 第7回 情報社会のリスク
- 第8回 情報セキュリティ技術
- 第9回 情報社会と法律
- 第10回 プログラミング(1)
- 第11回 プログラミング(2)
- 第12回 ユーザインタフェース
- 第13回 データベースの基礎
- 第14回 ソフトウェアの開発
- 第15回 情報通信技術が変える社会
■ 講義内容
各講義回の概要とキーワード
第1回 情報化する社会を生きる
情報化がもたらした社会の変化と、そこに生きる私たちと情報との関係、
および、情報化が学問に与えた影響と情報学との関係について説明する。
また、本科目の目的を述べる。
■ 【キーワード】
ICT、情報リテラシー、ICTリテラシー、21世紀型スキル、情報弱者、
デジタルディバイド、情報学
第2回 情報のデジタル表現とマルチメディア
デジタル情報処理のプロセスを説明する。
とくにデジタルの最大の特徴である劣化が起きない理由を解説する。
■ 【キーワード】
アナログ、デジタル、符号化、復号、標本化、量子化、二進数、十六進数、
誤り検出符号、誤り訂正符号、プロトコル
第3回 コンピュータの構成要素とその機能
パソコン内部の構成要素を知り、
CPUで計算ができるしくみをリレーを用いた論理回路で概略的に説明する。
■ 【キーワード】
ハードウェア、ブール代数、論理回路、スイッチ素子、リレー、加算器
第4回 インターネットの歴史としくみ
インターネットの歴史と仕組みを解説する。
また、インターネットのパケット交換の仕組み、ルーティング、
名前解決などについても概説する。
■ 【キーワード】
パケット交換、IPアドレス、ルータ、DNS、ドメイン名、FQDN
第5回 インターネットの応用
プロトコルの概念に基づいてインターネットの主要なサービスである
ワールド・ワイド・ウェブと電子メールのしくみを解説する。
■ 【キーワード】
プロトコル、OSI参照モデル、TCP/IP、UDP、ポート番号、WWW、URL、
クッキー、電子メール、メールアドレス、STMP、POP、IMAP
第6回 情報リテラシーと情報倫理
ネット環境の情報の活用に関しては、著作権等の対応、
情報の自由な流通とプライバシー保護の相反する価値の考慮が必要になる。
本講は、情報活用能力の涵養のための情報リテラシーと
情報倫理の関係を考える。
■ 【キーワード】
ソーシャルメディア、印刷メディア、電子メディア、リテラシー、
オラリティ、倫理綱領、コンプライアンス
第7回 情報社会のリスク
情報の社会経済システムの中で、
情報の不適切な発信や情報への不正アクセスなどが問題になる。
本講は、ウェブ環境の情報の保護と活用や、
それに伴う名誉毀損の防止や信用の保持、
人為的な不正行為におけるリスクについて考える。
【キーワード】
■ 【キーワード】
サイバースペース、無体物性、信ぴょう性、不確実性、非対称性、秘密性、
サイバーカスケード、デジタルフォレンジック、マイナンバー、
サイバー刑法
第8回 情報セキュリティ技術
情報資産が脅威にさらされる原因と攻撃の仕組み、防御の仕組みについて、
技術の観点から解説する。
■ 【キーワード】
機密性、完全性、可用性、脆弱性、マルウェア、
セキュリティソフトウェア、ファイアウォール、
共通鍵暗号方式、 公開鍵暗号方式、電子署名、PKI
第9回 情報社会と法律
情報社会における情報・メディア法は、
必ずしも確立した体系にはなっていないが、
知的財産法を含む。
知的財産法は、ほぼ体系化され、著作権法を含む。
本講は、情報・メディア法システムと知的財産法システム
および著作権法システムを概観する。
■ 【キーワード】
IT基本法、知的財産基本法、コンテンツ基本法、知る権利、
プライバシー権、知的財産権、著作権と関連権
第10回 プログラミング(1)
コンピュータにおけるプログラムの働き、
プログラムを作成するためのプログラミング言語や言語処理系、
プログラミングを支援する観点からのOSの働きについて説明する。
■ 【キーワード】
プログラム、プログラミング言語、言語処理系、OS、抽象化
第11回 プログラミング(2)
プログラミング言語Pythonを用いて初歩的なプログラミングについて
説明する。
続いて、問題解決の観点からプログラミングの方法について考える。
第12回 ユーザインタフェース
情報機器等のシステムとユーザの情報交換を担う
ユーザインタフェースの概念、構成要素の具体例、
使いやすさの要因について説明する。
■ 【キーワード】
ユーザインタフェース、GUI、使いやすさ
第13回 データベースの基礎
実世界のデータを記録し再利用するために、データベースが用いられる。
まず、データベースの意味と役割を解説する。
次に、最も広く使われるリレーショナルモデルを取り上げ、
データのモデル化と利用方法の基礎を解説する。
■ 【キーワード】
データベース、 データモデル、 リレーショナルモデル
第14回 ソフトウェアの開発
情報システムの開発工程に焦点を当てる。
ソフトウェア開発に含まれる作業と、代表的な開発方法を概観する。
また、リレーショナルデータベースを設計する方法と、
ソフトウェア開発プロジェクトの管理について解説する。
■ 【キーワード】
ソフトウェアの開発工程、 ウォーターフォールモデル、
データベース設計、 プロジェクトマネジメント
第15回 情報通信技術が変える社会
情報通信技術が現代社会で果たしている役割は、
我々が気づいているよりはるかに大きく、
生活、科学、産業をはじめ社会全般に変化が起きていること
幾つかの事例を用いて説明する。
■ 【キーワード】
ユビキタスネットワーキング、グリーンICT、 スーパーコンピュータ