Webのしくみと応用(’19)【情報・専門科目】:シラバス概要
■ 講座情報
Webのしくみと応用(’19)
Technology and Application of the Web ('19)
【主任講師】
森本 容介(放送大学准教授)
伊藤 一成(青山学院大学准教授)
【教材・資料】
・インターネット視聴
■ 講義概要
日常生活や仕事を進める上で、Webは重要な役割を果たしている。
Webの仕組みやWebシステムを実現するための技術を学び、
普段意識せずに使っているWebの裏側を理解する。
さらに、Webの関連技術やWebを使った応用システムについて学ぶ。
【授業の目標】
Webシステムが動作する仕組みを理解することを目標とする。
Webに関する規格、動的なWebサイトを実現する仕組み、
Webのセキュリティ、Webシステムの具体例や応用などを学ぶ。
【履修上の留意点】
「情報ネットワーク('18)」を履修しておくことが望ましい。
【講義項目】
- 第1回 身近なWeb
- 第2回 Webの基礎
- 第3回 HTMLとCSS(1)
- 第4回 HTMLとCSS(2)
- 第5回 HTTP
- 第6回 動的なWebサイト
- 第7回 リレーショナルデータベース
- 第8回 クライアントサイドの技術
- 第9回 認証とセッション管理
- 第10回 Webのセキュリティ
- 第11回 大規模なWebシステム
- 第12回 検索エンジンとWeb情報検索技術
- 第13回 セマンティックWebとリンクトオープンデータ
- 第14回 HTMLテクノロジ
- 第15回 WoT時代のWeb
■ 講義内容
各講義回の概要とキーワード
第1回 身近なWeb
Webは、情報提供、商業取引、コミュニケーション、情報管理・共有、
娯楽など、様々な目的に利用されている。
Webの歴史、基本的な仕組み、Webシステムの特徴などを解説し、
本講義の全体を俯瞰する。
■ 【キーワード】
Web、ハイパーメディア、URL、HTTP、HTML、 Webシステム
第2回 Webの基礎
Webに関する主要な規格を概観し、
WebブラウザがWebページを表示する流れを解説する。
■ 【キーワード】
クライアントサーバモデル、URL、HTTP、ステータスコード、
メディアタイプ
第3回 HTMLとCSS(1)
Webページの文書構造はHTMLで、スタイルはCSSで記述する。
Webページを構成する要素と、HTMLの記述方法を概観する。
■ 【キーワード】
HTML、CSS、タグ、リンク
第4回 HTMLとCSS(2)
前回に引き続き、HTMLとCSSを取り扱う。
文書構造とスタイルを分離する利点を示した後、
CSSの記述方法を概観する。
また、Webページにおける図表の利用方法を解説する。
■ 【キーワード】
文書構造とスタイル、CSS、RGBカラーモデル、図表のマークアップ
第5回 HTTP
WebブラウザとWebサーバがHTTPで通信することによって
Webが実現されている。
HTTPが持つ機能や、HTTPメッセージの構造を解説する。
また、Webを高速化するための、様々なレベルでの仕組みを紹介する。
■ 【キーワード】
HTTPメッセージ、HTTPメソッド、ステータスコード、キャッシュ制御、
持続的接続
第6回 動的なWebサイト
クライアントからのリクエストに応じて返送する
リソースを生成することにより、
動的なWebサイトが実現できる。
ユーザの入力を受け付けるフォームの作り方と動作、
および動的なWebサイトを実現する一般的な方法を解説する。
■ 【キーワード】
フォーム、POSTメソッド、Webサーバ、CGI
第7回 リレーショナルデータベース
Webシステムに限らず、
多くの情報処理システムではデータの管理にデータベースを使っている。
データベースの役割と、
主要なデータベースであるリレーショナルデータベースの基礎を解説する。
■ 【キーワード】
データベース、リレーショナルデータベース、キー、テーブルの演算、
正規化、データベース管理システム、トランザクション
第8回 クライアントサイドの技術
Webサーバ側で動作するプログラムと、
クライアント側で動作するプログラムを組み合わせることによって、
高度なWebシステムを実現することができる。
クライアントサイドの技術と、
その代表であるJavaScriptの機能を解説する。
■ 【キーワード】
JavaScript、イベント
第9回 認証とセッション管理
Webシステムを利用するユーザの正当性を
確認する作業であるユーザ認証について解説する。
また、ステートレスなプロトコルであるHTTPで
セッション情報を保持するための仕組みや、
複数のWebシステムの認証を一度で済ませる技術についても解説する。
■ 【キーワード】
ユーザ認証、フォームベース認証、セッション、ステート、
クッキー、シングルサインオン
第10回 Webのセキュリティ
Webには様々なセキュリティ上の脅威が存在する。
Webの利用者の視点、およびWebシステムの開発者・提供者の視点から、
Webのセキュリティについて解説する。
■ 【キーワード】
TLS、フィッシング、SQLインジェクション、
クロスサイトスクリプティング、セッションハイジャック
第11回 大規模なWebシステム
多くのアクセスのあるWebシステムで
パフォーマンスの問題を解決する技術や、
サービスとしてWebアプリケーションを提供する事業形態などについて学ぶ。
また、HTTPの新しいバージョンであるHTTP/2について概観する。
■ 【キーワード】
冗長化、負荷分散、データセンター、仮想化技術、CDN、
クラウドコンピューティング、PaaS、IaaS、SaaS、HTTP/2
第12回 検索エンジンとWeb情報検索技術
膨大な量のWebサイト・Webページから必要な情報を探すことができる
検索エンジンについて説明する。
また、Webの構造に着目したマイニング方式について概観する。
■ 【キーワード】
検索エンジン、クローラ、メタデータ、構造マイニング、PageRank、
HITS、マルチメディア検索
第13回 セマンティックWebとリンクトオープンデータ
Webページの要素に対して意味付けを行い、
コンピュータによる自動的な処理、高精度の検索、
情報の関連付けなどを目指すセマンティックWebについて概観する。
セマンティックWeb技術をオープンデータに適用した
リンクトオープンデータについて、応用事例とまとめて解説する。
■ 【キーワード】
RDF、リンクトオープンデータ、SPARQL
第14回 HTMLテクノロジ
Webページは、様々な種類の端末を用いて閲覧される。
多様な環境から閲覧可能なWebページを作る方法を解説する。
また、Webブラウザの機能向上や端末の性能向上に伴い、
従来は想定されていなかった機能がWebブラウザ上で実現可能になった。
センシングデータの処理、ベクタグラフィックスの扱い、ストレージ技術、
リアルタイム双方向通信を中心に解説する。
■ 【キーワード】
HTML5、端末の多様化、レスポンシブWebデザイン、メディアクエリ、
SVG、デバイスアクセス
第15回 WoT時代のWeb
Webサイトは必ずしもPC上で動作するWebブラウザから
アクセスされるものではない。
Web上で提供されるサービスをAPI経由で利用する方式や、
モノのWeb化に伴い、デバイスが相互にWebの標準技術を使って直接通信する
ネットワークで適用されるアーキテクチャについて解説する。